伊予の霊場巡り(最終編)

■第六十四番札所 石鈇山 金色院 前神寺
四十一番札所観自在寺からスタートした愛媛県の霊場巡りは、いよいよ今回が最終編。
6月から順次1ヶ月に1回の割で取材撮影を進めてきて、ちょうど紅葉が進み始めるこの時期にクライマックス。今回の取材は10月27日で、当日の朝まで雨模様ではあったがお天気はなんとか回復傾向で雨上がりのしっとりした感じをカメラに収めることができました。
さて、その六十四番札所前神寺。駐車場からは約200mほど歩けば境内へ辿り着く。当日は駐車場や境内周辺で地域の方々や檀家の皆様方が伸びた草を刈ったり落ち葉やゴミなどを集めて清掃をしておられ、この境内などの整理整頓された美しさの訳はこれかと納得。参拝に訪れるみなさんが少しでも癒やされるよう日々努力されていることに、これも素晴らしいおもてなしの一つだと感じ入りました。


四国八十八ヶ所霊場會によれば、山岳信仰の山として崇拝される日本七霊山の一つである石鎚山(標高1982m)の麓の霊場であり真言宗石鈇派の総本山で、開創は天武天皇(在位673~86)時代。その後、桓武天皇(在位781~806)が病気平癒を祈願し成就されたことにより七堂伽藍を建立し、勅願寺「金色院・前神寺」の称号を下賜されたと言われる。
まずは大師堂を左手に見て奥へ。
ほどなく右手に「修行大師」が私たちを見つめている。その先には小川が流れておりそこにかかる「浄土橋」の向こう側から木漏れ日が射し込んでいる。とにかく綺麗に清掃が行き届いている。四国霊場数あれど、これまで巡ってきた愛媛県の形状の中でも群を抜いている美しさを感じながら「浄土橋」を渡って右手の「御瀧行場不動尊」に頭を垂れて一礼。かつては滝打ち修行が行われていたという。


石段を登り切ると境内が拡がり、一番奥に均整のとれた美しい佇まいの本堂が姿を見せる。ここぞとばかりにカメラ向けるが、簡単そうで意外と難しい神社仏閣撮影。反っている軒などとそのバランスをしっかり表現するために「垂直水平」をきっちり決めないとかえって不細工になってしまうので注意が必要なのだ。そして本堂に近づくと「三つ葉葵の寺紋」が出迎えてくれる。

前神寺の歴史を紐解くと、江戸時代には、西条藩主松平家の祈願所となり三つ葉葵の寺紋を下賜するなど寺運は隆盛を極めたが、明治維新の神仏分離令により寺領を没収され一時は廃寺を余儀なくされたという。その後、明治22年に前神寺として復興を果たし真言宗石鈇派総本山として法灯を伝えている。
そして本堂を後にして最初の境内まで戻り大師堂に手を合わせる。付近を清掃されていた方々と挨拶を交わすと気安く話しかけていただき、癒やされて三角寺へと向かうことができた。
■第六十五番札所 由霊山 慈尊院 三角寺
静かで清掃の行き届いた前神寺では心静かにお詣りの時間を過ごすことができる。本来ならすぐ裏手にある「石鎚神社口之宮本社本殿」をお詣りして晩秋の趣を体感した後に三角寺へ向かわれることをオススメする。前神寺から三角寺までは距離にして約50km、時間にして約60分ほどだ。ただしこれは前神寺を出発した後に松山自動車道西条ICから三島川之江ICまでを高速道路を端っての時間。国道11号を走るルートなら距離はさほどに変わらないが90分は要する。
・前神寺から三角寺へのルート
松山自動車道経由 約50km、時間にして約60分 ルートMAP
国道11号経由 約50km、時間にして約90分 ルートMAP


三島川之江ICを出ると国道から左折右折と数回ハンドルを切るが、ルートMAPの指示通りに進むと次第に狭い山道に入っていく。この道路は狭く離合できないところもあるので十分注意が必要。急がずできるだけゆっくり走って行くと駐車場(料金500円)に辿り着く。
駐車場からは急で段差も大きい30段くらいの石段が二つある。雨や霧で濡れていたら滑りやすいので注意が必要だが、登り切ったら立派で迫力満点の山門が出迎えてくれるのだ。


山門を潜ると左手奥へと境内が拡がる。
周囲には桜や黄葉の老木が枝をしならせてせり出しており、それぞれの季節には見応えのある景色に生まれ変わりそうな気配を感じる。特に10月に咲く「四季桜」が筆者が訪ねた際(10月27日)には見頃を迎えており、その美しい出で立ちに癒やされた。
四国八十八ヶ所霊場會の公式サイトによると・・・
三角寺は、標高は約360mの平石山の中腹にある静かな境内。かつて江戸時代の俳人・小林一茶が寛政7年(1795)に訪れたとき「これでこそ 登りかひあり 山桜」と詠まれただけあって、山内は樹齢3、400年の桜が爛漫となる名所である・・・境内は落ち着いた雰囲気で晩秋の装いと春の桜の季節に思いを馳せながら手を合わせ頭を垂れるのだ。


歴史的には、聖武天皇(在位724〜49)の勅願によって、行基菩薩が弥勒の浄土を模して具現するために開創したと伝えられるが、その後、弘仁6年(815)に弘法大師が訪れ、本尊の十一面観音像を彫造して安置されたという。詳細は、四国八十八ヶ所霊場會の公式サイトにおいて記載してあるのでご参照いただくとして、この歴史ある三角寺も、あの長宗我部軍の「天正の兵火」に遭い一部の堂宇を焼失しているのだ。そのために現在の本堂が再建されたのは嘉永2年(1849)で、昭和46年に修復されている。
以上で伊予の霊場巡りは終わりです。
今後、機会がございましたら、また他三国の霊場巡りもご紹介させていただきます。
紅葉の美しい11月、一方で山間にある霊場では積雪や凍結などの可能性もあるので、お出かけの際には「冬支度」をくれぐれるお忘れなきよう、どうぞお気を付けて。
来月からは、再び「愛媛ツウのオススメスポット」として名所名場面を取材して写真でご紹介していきます。どうぞお楽しみに📸
Mr.K
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2026年11月1日(日曜日)





